I
(1)五十音図ア行第五段の仮名。 後舌の半狭母音。
(2)平仮名「お」は「於」の草体。 片仮名「オ」は「於」の偏から。
II
(感)
軽い驚きの気持ちを表す語。 あっ。

「~, 速いな」

III
[ヲ](格助・接助・間投助)
⇒ を
IV
お【オ】
〔オモテ(表)の略〕
和装本・唐本などで, その丁の表の面であることを表す符号。 「五丁オ(五丁の表)」のように普通, 片仮名で書く。
V
お【小】
(1)名詞に付く。 (ア)形や規模が小さい意を表す。

「~川」「~舟」(イ)語調を整えたり, 親愛の気持ちを表したりする。 「~田」「~野」

(2)用言に付いて, 量や程度がわずかな意を表す。

「~止みなく降る雨」「~暗い道」

VI
お【尾】
(1)動物の尻(シリ)から細長く伸び出た体の部分。 しっぽ。

「犬が~を振る」「クジャクの~」

(2)({(1)}に似て)物の本体からうしろに, 細長く伸びているもの。

「凧(タコ)の~」「ほうき星の~」

(3)物事の終わりの部分。 末の方。

「其言葉の~に縋(スガ)つて/平凡(四迷)」

(4)山の裾野の細くのびた部分。

「山の~をめぐる谷の入口/夜明け前(藤村)」

~に尾をつ・ける
(事実以外のことをつけ加えて)物事をおおげさに言う。 尾鰭(オヒレ)をつける。

「伝へ又伝へて, 枝に枝を生じ, ~・け/福翁百話(諭吉)」

~に付・く
他人の言動に追随して行動する。
~を=泥中(デイチユウ)(=塗中(トチユウ))に曳(ヒ)く
〔荘子が楚王に仕官を求められた時, 「亀(カメ)は, 殺されて亀卜(キボク)に用いられて珍重されるよりは, 泥の中に尾を引きずってでも生きたいだろう」と言って断ったという「荘子(秋水)」の故事から〕
仕官せずにのんびり暮らすこと。
~を引・く
物事がすんだあとまでも, その名残や影響が続く。

「この間のいさかいがまだ~・いている」

~を振・る
(犬が尾を振って人にこびるように)相手に気に入られようと機嫌をとる。 しっぽを振る。
~を見・せる
「しっぽを出す」に同じ。

「世間に~・せず, 狐よりは化(バケ)すまして世をわたる事/浮世草子・永代蔵 5」

VII
お【峰・丘】
山の小高い所。 みね。 おか。 また, 尾根。

「あしひきの~の上の桜/万葉 4151」

VIII
お【御】
〔「おおみ(大御)」が「おおむ(おおん)」「おん」を経て「お」と転じてできた語〕
(1)名詞に付く。 (ア)相手や第三者に対する敬意とともに, 相手のもの, 相手に関するものであることを表す。

「あの方の~帽子」「~子様」(イ)丁寧の意を表す。 上品に表現しようとする気持ちをこめても用いる。 「~茶」「~しるこ」「~値段」

(2)(「阿」「於」とも書く)女性の名前に付けて, 親愛感を添える。

「~菊」「~富さん」

(3)動詞の連用形・名詞に付く。 (ア)「なさる」「になる」「遊ばす」「くださる」「いただく」「だ」などの語を伴い, その動作の主に対する敬意を表す。

「~いでなさる」「~世話になる」「~読みあそばす」「~書きくださる」「~越しいただく」「社長が~呼びだ」(イ)和らげた命令表現をつくる。 目上には使わない。 「~黙り」「そう~し」「早く~はいり」(ウ)「する」「いたす」などの語を伴って, 自分の側の動作について, 動作の及ぶ相手に対する敬意を表す。 「かばんを~持ちいたしましょう」「御注文の品を~届けに上がりました」「先生を~呼びする」

(4)形容詞・形容動詞に付く。 (ア)丁寧・上品に表現する。

「~暑うございます」(イ)相手や第三者に対する敬意を表す。 「さぞ~さびしいことでしたでしょう」「~きれいでいらっしゃる」

(5)(ア)(尊敬の表現を裏返しにして)皮肉やからかいの気持ちを表す。

「~高くとまっている」「とんだ~荷物をかかえこんだ」「~えら方」(イ)謙遜・卑下の気持ちを表す。 「~恥ずかしゅうございます」「~粗末でした」

(御)
IX
お【緒】
(1)糸やひもなど, 細長いもの。

「羽織の~」

(2)履物につけて, 足にかけるひも。

「~をすげる」「鼻~」

(3)楽器や弓の弦。

「琴の~」

(4)長く続くもの。

「あらたまの年の~長く逢はざれど/万葉 3775」

(5)魂をつなぐもの。 いのち。 玉の緒。

「己が~を凡(オオ)にな思ひそ/万葉 3535」

X
お【諾】
承諾を表す応答の語。 はい。

「否(イナ)も~も欲しきまにまに/万葉 3796」

XI
お【雄・男・夫・牡】
(1)おとこ。

「汝こそは~にいませば/古事記(上)」

(2)夫(オツト)。

「吾(ア)はもよ女(メ)にしあれば汝(ナ)をきて~は無し/古事記(上)」

(3)他の語に付いて, 複合語をつくる。 (ア)男性, または動植物が雄性である意を表す。

「ますら~」「~鹿」「~花」(イ)一対の物のうち, 「大きい」「勢いが強い」など, 男性的と思われる方を表す。 「~滝」「~岳」(ウ)男らしい, 勇ましいなどの意を表す。 「~たけび」

XII
お【魚】
〔「うお」が他の語の下に付いて, 複合語をつくる際に生ずる形〕
うお。 さかな。 「おうお(大魚)」「ひお(氷魚)」など。
XIII
お【麻・苧】
(1)アサの古名。

「~の畠あり/宇治拾遺 12」

(2)アサやカラムシの繊維を紡いだ糸。

「~をよりて/土左」


Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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